小説版ドラクエVの作者が「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」制作委員会を訴える。「リュカ」の名前を許可なく使ったため

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ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの公式サイトにあるイメージ
出典:公式サイトより

小説版のドラクエVを手掛けた久美沙織さんが「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の製作委員会を訴えたことを発表しました。

※記事の内容的にリュカの名前のネタバレがあるので注意

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「リュカ」の名前の許可を取っていなかった

本日8月2日に劇場公開された3Dアニメ映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。「ALWAYS」などで知られる山崎貴監督がメガホンをとった新作映画で、国民的RPGドラゴンクエストの映画化ということもあり注目度の高い一作です。

物語はシリーズ5作目「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」をベースとしており、主人公の名前が「リュカ」であることや、現在でも論争のネタにされるビアンカとフローラ、ゲマなどドラクエ5でおなじみのキャラも登場します。

夏休み映画としても注目度の高い作品ですが、本日小説版の「ドラゴンクエストV」や「ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説」などドラクエのノベライズを手掛けてきた小説家の久美沙織さんが、ドラゴンクエスト ユア・ストーリーズ製作委員会を相手に提訴したことを発表しました。

訴状によると、小説版ドラゴンクエストVで使用していた主人公の名前「リュカ」について無断で使用されたことと、リュカの本名である「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」が無断で「リュカ・エル・ケル・グランバニア」と改変されたことについて長野地裁に8月2日付で訴状を提出。

ただしキャラクターの名前は著作物として認められないとの判示に鑑み、訴状では「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」を争点としているとのこと。

「ドラゴンクエストVを映画化するにあたり、主人公の名にリュカを使うとしたら、それは私の小説が存在したゆえで、また、その読者のかたがたが多数おられたからだと思われました」と訴訟に至った理由をつづっています。

久美沙織さんはこの訴訟で名称を無断使用したことについての謝罪と、事後ではあっても契約したうえで「リュカ提供:久美沙織」とクレジットすることを求めています。上映中止やDVDの販売停止、金銭賠償などは求めていません。

訴訟することになった理由

久美沙織さんがドラクエが映画化されることを知ったのは2019年2月の情報番組でのこと。このときに声優と主人公の名前がリュカになることを知ったそうです。リュカの名称使用について特に連絡はなかったものの、この時点ではリュカという名前が使用されることについては名誉なことだと受け止めていたそうです。

6月に入り「ドラゴンクエスト 精霊ルビス伝説」の担当者とのやり取りの中で、7月に自身が参加するイベントにおいて、映画ドラクエの宣材の提供と、映画公開にあわせて「小説ドラゴンクエストV」の宣伝をお願いしたそうです。

ところが「ドラクエを集客に使うのは商業利用に当たるからNG」との回答、さらに小説版ドラクエ5の宣伝も「ユア・ストーリーズのノベライズを出版予定の出版社が別にあるため、紛らわしくなり、また、その出版社に不快を与えるため不可」との返答があったそうです。

さすがに変だと感じた久美沙織さん。「リュカ」の使用に関して連絡がなかったことは胸に納めて対応していたものの、その気持ちは通じず、むしろ久美さん側が突然、不遜にも過大な要求をしたかのような対応をしてきたそうです。

個人、法人、製作委員会のような任意組合と立場は違えど、クリエーターはクリエーター同士、自らの創作物について自らの権利を主張するのと同時に、また、同様に、相手方の権利や成果や名誉も認めて、手を携え力を合わせてゆくのでなければ、複数のクリエーターが関係する創作が発展することは不可能です。

私個人の権利を主張するためというだけでなく、このような原理原則を株式会社スクウェア・エニックスさまにご確認頂くためにも、あえて苦言を申し上げるべきではないかと考えるにいたったのです。

全体監修の市村龍太郎氏は「リュカ」と「リュカ・エル・ケル・グランバニア」を使うに至った経緯やそのことについての事前の連絡の欠落について率直に説明し、イベントでドラゴンクエストについて話しすることが商業利用でNGとの判断を撤回したうえで必要な宣材を提供することも快諾。ドラゴンクエスト ユア・ストーリーの試写会にも呼ぶなど、丁寧な対応をしてくれたそうです。

市村氏との間では良好な関係が築けていたものの、使用許諾契約については特に連絡はなかったとのこと。このことについて市村氏に「リュカ提供:久美沙織」のような契約をしてほしいとの提案を行ったそうです。それに対して市村氏は東宝株式会社が窓口となる旨を市村氏から知らされ、その後、東宝株式会社側から連絡がきたそうです。

ところが東宝株式会社は「スクウェア・エニックスから一方的に説明を受けただけでよく事情がわからないので「最初から」話がしたい」との連絡をしてきたとのこと。市村氏とのやりとりをなかったかのようにするかのような対応には応じられないと返答したそうです。

そう伝えたところ「根本的な認識の相違」があるから2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会からは提案はできない、久美沙織さん側から提案すれば検討してもよい、との連絡があったとのこと。

さらにスクウェア・エニックス側の代理人弁護士から「リュカは著作物ではないから、許諾不要、連絡不要、よって著作物の二次使用ではないから交渉委任も不要。」リュケイロム・エル・ケル・グランバニアと、著作物ではない成果物の無断使用が一般不法行為にあたる可能性には触れられず、逆に、「リュカ」は著作物でないから提訴自体が不法行為に当たる可能性を指摘してきたそうです。

本件訴訟の請求事項は名誉回復のみであり、金銭賠償の請求はしておりません。また、映画の上映差し止めも請求しておりません。楽しい映画ですから、多くのかたにご覧頂きたいと、心底、思っております。本当は本件訴訟のような水を差すこともしたくはなかったのです。

ですが、同時に、創作者として最低限の筋を通すためには、「リュカ」および「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」の創作については、これらが著作物に該当するか否かに関係なく、その名誉も責任もともに、私、久美沙織に帰すること、その氏名表示の欠落の責が2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会さまにあることを示さないわけにはいかない、とも考え、このような請求内容としました。

訴訟の行方はどうなるんでしょうかね。全文を見たい人はこちらで見ることができます。